苦しかったときのこと(2)

休職したその日から、会社に行かなくていいんだ、という

ホッとした気持ちは、少ししか感じなかった。

ただ「どうしよう」という気持ちが、渦巻いていた。

これまでの人生でも、行きたい大学に行けなかったり、

転職や恋愛、その他「普通の挫折」は、

それなりに経験してきていたつもりだった。

でもこれは、次元が違う。

どうやって立ち直ったらいいのか、まったくわからないのだ。

病院へ行って薬はもらったけれど、効いているか、わからない。

とにかく、寝たい。眠るしかない。

そうやって1日中寝て、起きたら、また次の朝が始まっている。

もう、朝が来るのも鬱陶しかった。

朝の光は、絶望感の続きの印。今の私が、続く証拠だったから。

毎日、考えていた。

どうしよう。

働けなくなったら、ご飯が食べられない。

生きていけない。

全部を捨てて、実家へ戻る?

治るなんて絶対に思えないのに、このまま実家で引きこもる?

無理だ。きっとあっという間に、家族の重荷になる。

治らないことに苛立たれ、怒られて、さらに立ち直れなくなる。

世の中の人は、イヤなことがあっても、がんばってる。

でも、自分はもう、がんばれない。

こんな私が、がんばれるはずがない。

無理だ。絶対に無理。

じゃあ、生きてる意味、ないじゃん。

このまま一生、「穀潰し」で終わるんだもの。

こんな形で死にたくはなかったけど、社会にとっての役立たずなんだから、

私、生きてる価値、ない。

数日後には、そんなふうに思い始めていた。

そしてそこからは、この思いが毎日、ずっとループし続けた。

私は人生の落伍者、役立たずなんだ。

他の人のようには、生きられない。

迷惑をかけるだけの、生きている価値のない人間は、死ぬしかない、と。

~つづく~

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

code