グルグルするつらさから、抜け出せないときは、そのこと自体でもう、気持ちが疲れてしまう。
そんなときに、私が使っていたのが、紙とペンである。
少なくとも、そのグルグルは、少し止められると思うので、気が向いたらやってみてほしい。
紙はメモ用紙ではなく、できればノートか、B5以上の、ある程度面積があるものを使うのがいいと思う。
そこに思い浮かんだことを、箇条書きでも何でもいいので、書き出していく。
今の自分のこと。過去に起こった出来事。将来への不安。
文句を言いたい人。その内容。さらには謝りたい人。お礼を言いたい人。その気持ち。
とにかく思いつくままに、書き出していく。
文字を書く行為が苦手な人は、自分が書くのが遅くて、わずらわしく感じるかもしれない。
それでも、感情を文字で言葉にしてみることが大切なので、できるだけやってみてほしい。
どういう表現が、今の自分の気持ちを一番表せるか、それを考えるだけでも、
少しは「気持ちの視点」が変わるからだ。
ただし、つらかった出来事を書くときは、思い出すだけで気分が悪くなることもあるだろうから、
自分の身体の反応には、注意しながら書いてほしい。
何か反応が出たらその話を書くのはやめ、5回くらいゆっくり深呼吸して、何か飲んでほしい。
お水や、温かい飲み物がいいと思う。
書いているうちに泣きたくなったら、泣いていい。
悔しくなったら、「くそー!」と声に出していい。
クッションや枕など、手に優しい、柔らかいものを叩いてもいい。
気が済んだら、また深呼吸して、水分を摂ろう。
書くことに疲れたら、そこでやめる。そして、書いたものを、読み直してみる。
2~3回読み直すと、それだけでも少しは、気持ちがスッキリしていることと思う。
さらに自分の気持ちを整理したいなら、
ネガティブなことと、ポジティブなこと(お礼や感謝ね)に、分けてみる。
マークをつけて分類してみてもいいし、マーカーで色分けしてみてもいいだろう。
それらを、淡々と、作業としてやる。
終わったら読み直し、それらの感情がすべて、自分の中にあったことを、改めて見つめてみよう。
読み返してみたときに感じる暗い気持ちも、あなたのものだし、
まったく同様に、温かく感じる気持ちも、あなたのものである。
あなたは、そんなにいろいろな面を持った人間なのである。
もし自分の視点を変えたいなら、さらにもう一歩。
「つらい」と書いているなら、今、何がつらいのかを、詳しく横に書いてみる。
「ありがとう」と書いたなら、さらにどんなことで感謝をしているのかを、具体的に書き加える。
これもまた、ペンの色や種類を変えると、わかりやすくなると思う。
そして、新たに書き加えたものを含め、読み直してみる。
自分の気持ちのつながりとして、前に書いたことと続けて読み返してみる。
奥にあった自分の気持ちとして、新たに書いた部分だけ、まとめて読み返してみる。
ここまでやればたぶん、少しは自分の頭の中が、整理されたような気持ちになると思う。
そして、頭の中のグルグルは、そのときには止まっているか、少しは軽くなっていると思う。
あとは、これを繰り返していこう。
日記のように、つれづれに文章を書いてみるのもいいし、
メモのように、箇条書きを続けるのもいい。
以前に書いたものをとくに読み返す必要はないが、ノートなどに書いていき、
書き貯めていくのであれば、それもまた、いいと思う。
もし、書き貯めるのであれば、後日に読み返してみて、
そのときに感じた気持ちを、さらに横に、書き加えてもいい。
たとえば、激情に駆られて書いてしまった言葉があったら、それを今は、どう感じるか。
意外なことに「自分って、熱い気持ちも持ってるな」などと、まったく別の感想が浮かんできたりする。
そのようにして、気持ちを分けて整理し、見つめてみることは、実はちょっと、あとでも役に立つ。
誰かに話を聞いてもらうときに、自分が少し落ち着いて話をできたり、
言いたいことを順序よく、ポイントをまとめて話せたりするのだ。
病院の先生に、カウンセラーに、友達に。あるいは、ネットへの書き込みのときにも。
頭のなかだけでグルグルやっていると、どうしても「嫌な気持ち」が一緒について周り、
そのこと自体がつらくて、抜け出せない。
そこで思考が止められなくなると、しばらくの間、自分で自分にムチを打ち続けるような状態になる。
だから、吐き出すのだ。声じゃなく、あえて文字で。
もう、すでに十分、あなたは心が痛んでいるのだから、本当はそれ以上、自分をムチ打つ必要はないのだ。
そこまで自分を、自分でいじめる必要はない。
そうして書いていくことで、それが、場合によっては新たな糸口を生み出してくれることさえある。
そこまではいかなくても、自分を落ち着かせることはできる。
面倒だと思うかもしれないが、ちょっとでもいいからやってみてもらえたら、と思う。