食べることと眠ること、呼吸すること

タイトルに書いた3つすべてが、鬱々とした気分に、おおいに関わっている。

これらが「まとも」じゃないと、人は、気分が「暗くなる」のである。

カルシウムが不足するとイライラする、という話を聞いたことはあると思うが、

カルシウムの吸収にはマグネシウムの助けが必要だ。

そんなふうにして、「栄養」は体内で相互に働きながら、あなたの身体をつくっている。

今日食べたものが、明日以降、文字通り、あなたの身体の一部になっていくのである。

だから、たとえば痩せたいと思うあまりに食品の量と種類を減らし、

ある一定の栄養素しか摂らないでいると、身体の中で「不足」するものが現れ、

それによってバランスが崩れてくる。

ビタミン剤などのサプリメントで補えばいい、という意見もあるが、生の食材にはその他に「酵素」などの

成分も含まれているし、同じビタミンでもさまざまな種類がある(例としてビタミンBは1~12まである)ため、

やはり、品目を増やしてできるだけ多くの種類の食材を食べたほうが、身体はバランスを保ちやすくなる。

せっかく痩せても、10年後に肌がボロボロになったりしたらイヤだと思うし、

鬱だって、脳内の物質を少しでも正常に保つためには、少量でもいろいろ摂取していくことが

本当は大切なのだ。

海外の人は野菜を食べないじゃないか、と思われるかもしれないが、欧米人とアジア人では、

(詳細は調べていないのでわからないが)「遺伝子」がいろいろな点で違うらしい。

たぶん、狩猟民族と農耕民族の違いなのだろうと思う。アジア系は概して、野菜を多く食べる。

海外の人のようにお腹がでっぷり太った場合、アジア人はかなりの確率で高血圧になるが、

欧米人は、その体型でも別に血圧が正常で、長生きする人だって大勢いるのだ。

睡眠も、質が悪いと体調が悪くなる。体調が悪くなると機能がうまく働かなくなったりするし、

これもまた、気分にいろいろとかかわってくる。

寝ている間、身体は落ち着きを取り戻す。交感神経が休んでいる間に今度は副交感神経が活発化し、

また、さまざまな調整を行うのだ。

脳の記憶も、寝ている間に整理されるという。

脳の働きが気分に影響するのだから、そう考えるとよい睡眠を取ることを目指したほうが、

鬱々とした気持ちに効きそうなことは、容易に想像できると思う。

朝、おひさまの光に当たることで脳内では交感神経が目覚め、皮膚の上ではビタミンDがつくられる。

それだけ考えても、せめて「太陽が昇っている間に目覚め、暗いうちに眠ることが、結構大切になる。

呼吸は、さらに気分によって変わる。ドキドキしたとき、不安なときには呼吸が浅くなる。

だから深呼吸すると落ち着くし、さらに空気のよいところで深呼吸すると、気持ちいいのである。

また、たとえば森の中では「フィトンチッド」と呼ばれる成分を、呼吸で体内に取り入れることができる。

するとその成分によって心が落ち着き、気分がよくなる。

水滴が落ちるときに放たれる「イオン」も心地よさをもたらすことは、テレビなどでご存じであろう。

これもまた、呼吸によって、体内に取り込まれる。

であれば、可能なときに少しでも川べりを散歩したり、木の側に行って匂いをかいでみたり、

風に当たって土の香りや心地よさを感じてみたりすることは、心に「効く」のである。

かといってこれらを全部、意識的に実行することは、なかなかできないであろう。

それは、私も鬱病を経験したからわかってはいる。

そんな前向きな気分になれるときは少ないし、今はとくに、関東・東北圏の人は、

長時間外を歩くことさえイヤかもしれない。

だがちょっとだけ、気が向いたときだけでも、これらを実行することは、

あなたの気持ちを変えるために確実だし、即効性もある。

部屋にこもって、頭でいくら考えても、あなたの気持ちはなかなか前向きにはなれないだろう。

でも単純に、身体や脳の働きがよくなってくれば、自然に気持ちは上向きになる。

旅先などで爽やかな朝を迎えると、それだけでもう気分がいいことは、過去に経験したことがあるだろう。

それが毎日続けば? と考えてみれば、気分は良くなっていきそうな気がしないだろうか。

ほんの少しでも意識して、ほんの少しでも、これらの「質」をよくしてみること。

それもまた、あなた自身を大切にし、いたわり、変えていくためのきっかけになっていくのである。

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