これまで、人目を気にしてきた人、人の評価が気になっていた人。
その理由で激しく落ち込んでしまうのであれば、これからは徐々に、いい意味で
「人からどう思われるかを気にしない」ようになる方向へ、変わっていったほうが楽だろう。
ある心理学系の本を読んでいたとき(エッセイみたいなものだったけど)、
その一節に「他人を気にせず、思ったことを行動に移す」ことについての話が載っていて、
練習方法として「小さな善行をすること」が載っていた。
良い行動は、人目を気にせず行動するための練習になる、というような趣旨だったと思う。
具体的には、「小さないいこと、小さな貢献」をするのだ。
家の中でも、家の外でも、「自分が気になったこと」を自発的に、「手をかけて直す」ような感じ。
家の中であれば、誰かがこぼした壁や床の染みを拭く、違う場所に置かれていたものをもとの位置に戻す、
ふだん、散らかっていてもそれほど不便ではない部分を、あえて使いやすいよう整理してみる、など。
家の外であれば、バスや電車内や町で落ちているゴミを拾う、お年寄りや子ども連れの人を助ける、
街路樹に水をやる、道を掃除するなど。
近所の人への「おはようございます」といったあいさつでもいいかもしれない。
「格好つけて、と思われたらどうしよう」
「わざと人目につくように、いいことをしてる……と思われるのは恥ずかしい」
「いい人のふりしてる、と思われるかな」
などと、これまでなんとなく気恥ずかしくて、そんなにできなかったことを、あえてやってみるのだ。
もし、それが自分にとって「結果として心地いい」「やってよかった」という感覚をもたらすのであれば、
それをがんばって、しばらく続けてみる。人からどう思われるか、ということより、
自分が「やってよかった」と、すっきりした気分になれるほうを、単純に優先するのだ。
あなたの小さな善行を、すべてチェックしている人はいない。
人はそんなに、あなたに注目してはいない。たまたま見かけたとしても、別に不快感は与えないだろう。
もちろん、「どうよ、私ってえらい?」という増長の心を生むためにやることではないので、
誰かに自慢したくて仕方ないような気持ちが生まれてきたら、やめたほうがいい。
変な自己満足の世界に陥る可能性がある。
慣れてくれば、人目を気にしない、それより自分の「楽しさ」「心地よさ」を大事にする、ということが、
意外にあっさりと、つかめるようになる。人目がそれほど気にならなくなって、普通の感覚で
するっとできるようになったりもする。
そして、自分に小さな自信をもたらしてくれたり、「これでいいんだ」という安心感を生みだしてくれたりする。
そこから何が変わるのか? と言われれば、人によって違うと思うけれど、
少なくとも私にとっては、心地よさを増やす練習にはなった。あと、自分に対する、小さな「安心感・信頼感」も。
気恥ずかしいことは承知しているが、視点を変えてみるために、
自分のために、こっそり、少しずつ、やってみてもらえればと思う。