苦しいとき 自分を責めるとき 頭のなかをよぎるのは
私はバカだ 私はダメだ
そんな厳しい 自己否定の責め文句ばかりである
そして 頭を抱え込んで泣くか 泣けもせず きつい罵倒を続ける
男でも 女でも 上手に自分を許していけないときは同じ
必ず ギリギリと雑巾をしぼるかのように 自分を叱っているはずだ
騙されたと思って 試してほしい方法が ひとつある
めちゃくちゃ嫌いな自分を 鏡に映すのだ
全身でなく 顔だけでいい
手鏡 あるいは洗面台の距離で
そうして次に 鏡のなかの 自分の瞳を見つめながら
無理やり 笑顔をつくるのだ
イヤだ と 反射的に思う人ほど 実は効果が高い
自分の情けなさを 自分で嫌っている証拠だからだ
やってみるとわかる
やがて あるいはすぐに 笑顔が苦しくて 涙が出る
それでも もうちょっとだけ我慢して
はっきり泣けるところまで
ニセの笑顔を 自分で見つめてみる
すると さっきとは違う「自分ってバカだなあ」が出てくる
笑顔なので 自分を責め いためつける
気持ちの高ぶった「バカ」ではなく
しみじみとした「バカ」が浮かんでくるのだ
あきらめが 少し入ったような
少しだけ 肩の力が抜けたような「バカ」
それは実は ちょっとだけ 自分に温かいものになっている
そのゆるい「バカだなあ」が生まれると
もっと泣けたりするので
そこでやっと 鏡を見るのをやめ
ぐっと息の詰まった感じや
感極まったギリギリの感じで泣くのでなく
ああ、バカだなあ、って
さめざめ 気が済むまで泣こう
笑顔は 自分自身にも 優しい
その さめざめとした涙は
ほんのちょっぴり 自分のバカさ加減を
自分に許したときの バカに変えるのだ
そうやって 自分をギチギチに傷めつける自己否定から
少し 自分をゆるめる否定へ 変えられるということは
知っておいてもらえたらと思う
自分をゆるめることが 鬱という病をゆるめる 第一歩になるのだ