鬱になるきっかけは、千差万別だ。
家族、身内、友達、仕事、事故、病気、結婚、引っ越し、勉強、進学……。
さまざまな理由があって、それが複数、重なるときもある。
でも、いずにせよあなたは、自分に負荷をかけた。
自分のやれる範囲以上のことをやったり、
新しい環境に慣れないまま、無理や無茶をした。
さらに、鬱という病が始まったあとでも、
起こる「症状」は似ている。
今までできていたことが、できなくなるのである。
やりたくなくなる。やっても失敗する。
だからよけいに、やる気が失せる。
このとき、たいていの人は「やれない自分」を責める。
やる気なんて、気持ちの問題なんだから、
本当はなんとかすれば、出るはず、
気持ちなんだから、自分次第でなんとでもなるはず!
と、考えるからだ。
が、しかし。
この病気は、脳の作動が狂うことが、少なくとも医学的に判明している。
脳の作動が狂うと、気持ちと思考は一致しない。
しかも、体調もおかしくなる。
厳然たる事実として、うまく「やる気」を引き出せないし、
体調だって悪くなる「脳」になっているのだ。
なのにあなたは、脳が不調になっているとは、気づけない。
なぜなら、頭痛がするわけでもなく、
ただやる気が失せる、疲れる、くらいしか、感じ取れないからだ。
しかし、そこまで脳の作動が狂ってしまったら、
薬を飲んで、すぐなんとかなる、というわけにもいかない。
多少、楽になっていくなることもあるけれど、
複雑な仕組みの脳に効く、ということは、
その分、脳の他の仕組みにも働いて、副作用が出やすかったりもするのだ。
たとえば禁断症状が起きたり、ね。
では、どうすればいいのだろう。
引っ越しをやめる?
結婚をやめる?
いや、環境を変えることが、上手に作用する場合もあるが、
また新たに「うまくいかなかった自分」を抱え込む可能性もある。
ならば、その病を治していくには。
負荷になってしまった、そもそもの原因、を
取りのぞいていくほうがいい。
物理的に、ではなく、心理的に。
あなたが無理や無茶をしようと思ったのは、
そのほうがいい、とか、
そうしなければいけない、と思ったから。
でも、それは本当に
「そのほうがいい」ことだったのか?
「そうしなければいけない」ことだったのか?
そこから、探っていくのである。
探っていくと、何かしら、「そう思う」きっかけとなったものが見つかる。
過去に同じようなことがあって、そう決めた、のか、
親のしつけによって「そうあるべき」と刷り込まれたのか。
そうした、何か、もとになるような考え方、受けとめ方、価値観、に
やがて、ぶつかっていくはずだ。
で、そこで自問するのだ。
それは、本当に「正しい」という類のものなのか。
それ以外の選択肢はないのか。
それ以外の、いい考え方はないのか、と。
この作業は、自力でできることもあるが、なかなか難しい。
だから、サポートを受けることも、ときには必要だ。
たとえば自分に合うタイプの、上手なプロカウンセラーは、
この答えを、自分が自分の中から見つけ出せるように、導いてくれる。
自分と相性のよいカウンセラーを探す必要はあるが、
探す価値は確かにあるのだ。
……長くなるので、すみません、明日もつづく