一度うまくいったら
ずっとうまく いき続けなければいけないのに
失敗してはいけないのに
ズレが起こってはいけないのに
ねえ こういうふうに書いたら
それがたとえ 仕事でも 勉強でも
人間関係でもさ
ものすごく都合いい話じゃない?
「あなたにとってだけ 都合よくものごとが
進まなくてはいけないのに」
と言っているのと 同じ意味だっていうの わかるかな
相手側のほうの選択肢が
そこに 含まれていないことは わかるかな
そんなこと あなたはなぜ 信じているのだろうね
そう思っているから ズレが起こるたびに
自分が人間として劣っているからだ
なんて 自分のせいにもする
相手側の選択の自由なんて
そこにはやっぱり 含まれない
全部 あなただけの視点
全部 あなただけの 都合
あなたの内側での 葛藤と自己完結
その範囲でのみ
完璧さを求めていること わかるかな
関わる相手にも
何をどう感じて 何を選ぶか
もちろん あなたと同等に
捉え 持っていいものはあるのに
あなたは
私にとっての満点じゃなきゃ
世間に笑われて
私が レベル低い人間だと認定されて
悲しい思いをするのよ! って言ってるの
ごめんね それって
ものすごく 傲慢だわ
そもそもの その「不満足」という
感覚をあなたに常にもたらしている
土台の部分が ズレているんだと思えるよ
そうならないと 世間に認めてもらえない
認めてもらったら そこでやっと私も
自分のこと 認められるはずなのに
っていうふうにやってることも ヘンなのだけれど
それよりもっと 土台の部分で
私は世間様にとって 恥ずかしいレベルだから
レベルアップしなくちゃいけない
その思い込みが おかしいの
そんなこと思い込んでいるから
あなたはいつでも
「自分が恥ずかしい証拠」ばかり
探して集めるの
例を出そうか
それなりにこまめに
掃除してある部屋に入っても
あなたは必ず ホコリを探す
窓のサッシの隅っこの
小さなホコリだけを 拡大鏡で見つめては
ほら まだこんなところが いっぱい汚れてる!
って 嘆くの
次の日は 高いタンスの上
また次の日は ソファーの裏側
あなたが ホコリだけを探して見つめるから
部屋全体の整いも 目に入らない
見えるはずなのに 見えないと言い張るしね
そりゃ探せば ホコリは必ず見つかるよね
病院の無菌室でもない限り
絶対 ホコリは日々 見つかるよね
で あなたは 普通の家屋に住みながら
いつまでたっても ホコリだけを見つめているの
その 視野の偏り わかるかな?
ホコリが ほんのひとひらさえ
舞っていない状況じゃないと
私の場合は 必ず誰かから 何か言われるに決まってるのよ!
それに他の人なら そのレベルでいいのかもしれないけれど
私はそんな妥協 したらダメなの!
そんなの 本当に素晴らしいとは言えないし
あの人にも 認めてもらえないのよ!
って思い込んでいるのよ
これ おかしいこと わかるかな?
見ていないモノがたくさんあるの 伝わるかな?
だから いかにホコリを立てないか
延々 あらゆる部分で
そんな工夫ばっかり努力しても 無理なんだよね
どんなに頑張っても
どんなに誠意を尽くしてやっても
そりゃ あなたにとっては
失敗の連続でしかない人生だよ
視点が 偏ってることさえ
気づきたくないってことかな
視点が偏ってる なんていうのは
「ものごとをうまく いかせられない人」の
言い訳にすぎない って言うのかな
土台 見つめ直したほうがいいよ
すごくヘンな 思い込みがそこにあるよ
何がよくて 何がいけないのか
何が素晴らしくて 何がみすぼらしいのか
その偏った 視点から見たら
そりゃすごいズレを いろいろ
起こしていくと思うよ
ましてや最初にも言ったように
そうすることで 相手の選択の自由
まるっきり無視だからね
で さらに結果としては
私にとって都合よくいかない状況なんて
私が 恥ずかしいレベルの人間だと明かすだけなの
私が ダメであることの立証でしかないと
失敗したら(ホコリをみつけたら)必ず
そうなのだと 言い張るわけでしょう
ホコリどころか 糸くずでも落ちてようものなら
ものすごい勢いで 延々 自己嫌悪
あのさ 誰に刷り込まれたかは 知らないけれど
それってなんだか 芸ができたら
ごほうびをもらえる
お腹の空いた仔犬のようだわ
そこしか見ないのは
失敗したとしか思ってないからで
そんなのイヤだからって 自分の都合だけで
いつも芸を披露しようと頑張って
そうやってエサをもらいに行ってるんだよね
で そんなふうに嘆いて 延々 空腹で過ごすの?
たぶん 過去に
あなたを ひとりの人間としては 扱わない相手から
「私を宝石で飾るかのように お前のこと 自慢させろよ!
そういう形でやっと こちらはあなたを 認めるんだからね!」 って
何かと 命令されてきたんだろうね
その相手もまた 自分にとって都合よくあなたが動いてくれ
自分の勲章としての『あなた』を示せることを 望んで
芸を高め 称賛を私にもたらせ! と あなたに押し付けてきた
だからあなたは そういうものなのだと思っていた
自分の中で 自分の都合で 動かしていくものなのだと信じた
そして あなたは 相手が言うところの
「立派さ」を体現しないと
愛というエサも 他のいろいろなエサも
もらえないって 信じ切っているのだろうね
あなたもまた 自分を
それ以外の道理がない 永遠に芸を見せる必要がある仔犬のように扱い
エサをもらえなければ 反省ばかりして
自分のダメな証拠だけを集め続けるのよ
それを 脇で見ながら
あざ笑っていたのは誰だろうね?
あなたがヒドいやり方で 自己調教するのを見ながら
「まだなの? またあなたはダメなの!?」と
今 ののしっているのは 誰なんだろうね?
最初は あなた以外の人が
あなたを本当に 嘲笑して
エサをくれなかったんだろうけれど
今は もう
刷り込み後の『パブロフの犬』のように
あなたが
自分をバカにして ホコリだけを見つめている
そうやってあなた自身が
自己採点と卑下を 選んでいる かもね
自分に対する自信? そんな話じゃないよ
その そもそもの 土台の偏り
あなたが 見つめているもの
あなたが 求めるもの
そちらの偏りに 気づいてほしいと思うよ
何かを努力するんじゃなく
偏りを知って そのヘンな努力自体を
止めることのほうを 選んでほしいと願うよ
あなたの その おびえ
その 根本の発想が
もうあなたには 必要ないんだよ……
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